オダガワ動物病院
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正確名称は−犬ジステンパーウィルス感染症−です。
犬に感染するウィルスと同じウィルスがフェレットにも感染することで発熱と鼻水、水泡を伴う紅疹、神経症状を主訴とする病気です。このウィルスはイヌ科、イタチ科、アライグマ科の動物に感染します。
糞や尿、目や鼻の分泌物で、空気中に飛散した分泌物を他のフェレットが吸い込んだり、直接的な接触によっても感染します。また、感染している動物と接触しフェレットがその人(動物)と接触するだけでも移ることがあります。
約1週間ほどの潜伏期間の後発病します。フェレットは初期の段階では比較的元気で食欲のある個体も多く見られるため発病に気がつかない場合があります。
発熱と鼻水が見られ、涙眼になりその後、膿性の鼻汁と、目やにに変化し、目の周囲が腫れてきます。
唇やあごの周囲も赤く腫れ、それらの腫れたところは後に硬く変化していきます。
数日後、体に水泡を伴う紅疹があらわれ痒がるようになり、次第にかさぶたのようになります。また、足裏の肉球の部分がカチカチに硬くなり、ハードパットと呼ばれる状態になります。
末期には中枢神経症の症状が現れ、痙攣のような発作や室内をグルグル回ったりする旋回運動も見られるようになります。また、ほとんど症状らしい症状を起こさないで、突然痙攣のような神経症状を発症し、死亡する場合もあります。
ジステンパーは、呼吸器症状から神経症状に至る死亡率の高いフェレットの伝染病です。特に幼犬時の集団発生が問題になりますが、成犬でも注意が必要です。軽い呼吸器症状で、治癒に至るケースから激しい症状をみて死に至るケースまで様々あります。また、全身症状から快復したと思われたフェレットや無症状と思われたフェレットに突然の神経症状を発症するケースも話題になっています。現在、ジステンパーの検査法には抗原検査、中和抗体検査、IgG、IgM抗体検査などがありますが、抗原の検出率は十分高いとは言えません。また、ワクチン歴、潜伏期、発症経過が様々なことからどの検査を選択すればよいか迷われることと思います。
*神経組織内の持続感染については生前診断は出来ません。(呼吸器症状から神経症状に至る経過が短い場合の抗体価には診断価値があります。)
◎抗原、抗体検査の使い方および解釈・抗原検査
― Ag ―
感染後7〜10日後より中和抗体が出現するまでの初期で検出率が高くなります。通常、感染後1週間以内の初期に上昇がみられ、4〜5週には低下します。
・抗体検査
― IgM ―
感染初期の7日目から14日の間に上昇がみられます。以降は急速に低下していきます。感染初期の感染診断(感染しているかどうか)として用いられます。
― IgG ―
IgMと交代するかのように感染5〜6週目より上昇が見られ、その後はゆっくりと低下していきます。個体の免疫応答が悪ければ上昇がみられません。(栄養不良、ストレス、その他の原因)この場合は残念ながら予後不良と考えられます。
感染診断というよりは疾病と闘いぬくだけの免疫応答が十分にあるかどうかの判断材料として用いられます。特に感染初期と考えられる症例では、IgM抗体検査をお奨めしています。IgM抗体は感染後7日から14日くらいに上昇がみられます。感染後どれくらいかを類推し、それ以降であればワクチン歴、現病歴などを記載の上でIgG抗体検査をお奨めします。臨床症状からは、感染がかなり疑われるにも関わらず、かつ抗体価も低い場合は、2〜3週間後の再検査をお奨めします。(ペア血清による抗体価の判定)抗体価の上昇がない場合・・感染の可能性が全くないか、もしくは感染していても免疫応答が病気を治癒に向かわせるに十分でなく予後不良の可能性があります。
*ジステンパーの場合は十分な抗体の上昇が得られても神経組織に持続感染している場合があり、後に神経症状を発症する可能性は残されます。
決定的な治療方法はなく、2次感染の症状を抑える抗生物質の投与、点滴、酸素吸入など対称療法をして体力の回復を待つしかありません。また猫のインターフェロンが有効な個体もあったとの報告もありますが、死亡率はほぼ100%に近いと言われています。
ワクチン接種による予防方があります。本院で投与希望の方は下記のワクチン注意を十分お読みになってからご来院下さい。
フェレット専用に開発され、安全性と有効性が証明された ワクチンは存在しません。
現在、日本国内には、フェレット専用に開発され、安全性と有効性が証明されたワクチンは存在しません。(密輸入されたフェレット用ワクチンは、薬事法に違反しますので使用できません。また、密輸という方法論上、保存状態に問題があるかもしれません)
代用として犬用のワクチン(主に混合ワクチン)を使用します。
また、前述のイヌ専用ジステンパーワクチンは、あくまでもイヌに接種する目的で認可されているのであって、フェレットに接種することに対しては認可を受けていません。
副作用は病院の検診では分からないことが多く投与してみなければわからないのが現状です。人のワクチンでも希に死亡事故がおきて社会問題になっています。
起こりうる副作用
・アレルギー反応やショック死など。
・医療牲の発症(ワクチンを接種したせいで、かえってジステンパーが発症してしまうという現象)
・株の変異(犬ジステンパー生ワクチンは生物製剤であり、生きたウイルスである。病原性が復帰したり、他の生物に対する病原性を獲得するなどの変異が起こらないという保証は、イヌに接種した時のみに有効である。)
すべての問題に対して飼い主は、獣医師を告訴したりしないという確約をしなければ、信頼関係は成り立ちません。この問題について不安を抱くのであれば、飼い主は十分な時間をかけて獣医師と話し合うべきです。
フェレットにイヌ用のワクチンを使用することは、犬に人体薬を使用することと同様、適要外使用ということであくまでも獣医師の裁量権の範疇であります。
万が一イヌ用ワクチンのフェレットヘの転用による医療事故や死亡があった場合、責任の所在を明らかにせざるを得ないような訴訟が起こると、製薬会社としては責任問題を追求されず。PL法の観点からも獣医師だけが不利になっていきます。
イヌ専用ジステンパーワクチンのフェレットヘの転用による副作用の確率は私は知りません。犬に犬用のワクチンを投与したした場合でも1000分の3位の確率でワクチンの副作用はおこります。正直な話、私自身の経験で過去10年フェレットでは1例も経験はありませんが、この先ワクチンアレルギーが起きない保証は一切ありません。
したがって、イヌのワクチンをフェレットに転 用する場合に絶対に必要不可欠なことは、飼い主と獣医師の信頼関係です。獣医師側は、ワクチンを接種することに対して、法的保護を何ら受けられないのです。
仮にフェレット用のワクチンを接種したとしても100%有効というわけではありません。特に、混合ワクチンだと、他の成分の干渉によって抗体価の上昇が妨げられるともいわれていますので、ワクチン接種後も注意が必要です。十分な抗体価を持っているかは血液検査によって確認することができます。十分な抗体価が無い場合は補助接種を行いますが抗体価が十分上がらないケースも見られます。
鶏胚由来の弱毒生ワクチン以外をフェレットに接種した場合、フェレットはジステンパ ーウイルスに大変感受性が高いためワクチンから犬ジステンパーに感染してしまう場合があります。このタイプは犬に使用できてもフェレットには使用不可です。
以上の製品を除いて適当と思われる製品を手持ちの中から選択して獣医師がフェレットに接種しています。本院でも友人から聞いたとの理由でワクチン会社を指定する方がいますが、どの会社のワクチンがフェレットに良いと言う根拠はありません。この製品なら安全と、太鼓判を押したり、この製品を便いましょうと推奨したりすることは控え、あくまでも事態の検証という立場をとっています。なおフェレット用として海外で認可されているワクチンは、トラブルが多いとの報告もあります。
そのワクチネーションプログラムは、生後6〜14週齢で1回目、その3〜4週間後に2回目の接種を行ない、その後は、年1回(鶏胚由来弱毒生ワクチンは、フェレットに対し1回の接種で2年間は免疫するとの報告もある)の追加接種が望まれます。
ジステンパーのワクチン接種は任意の保険のようなものであって、だれにも強制されるものではありません。確かにフェレットは、犬ジステンパ−に感受性が高いと言われていますが、はたしてわが国でワクチンを打たずに飼育されたフェレットのうち、何%の個体にジステンパーが発症するのかという危険率は、明らかにされていません。未接種のままフェレットを飼育し続けても、まわりにウイルスがいなければ発症はありません。ワクチンをうたなければ絶対に病気になるという脅迫観念にとらわれず、冷静な目でワクチン接種の必要性を見つめ直すことも大切でしょう 。もしも、ワクチン接種によって人為的に犬ジステンパーが発症する確率%が、フェレットの犬ジステンパー自然発症率%を上回るようでは、むしろワクチン接種をすべきではないという見方もあるのです。そのような事柄も含めて、フェレットにワクチンを接種するかしないかの最終的な決断は、飼い主自身が行なうべきです。
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