小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2017.11.10更新

あmagnifier眼軟膏とは


あ眼軟膏製剤テトラサイクリン

■眼軟膏
 眼軟膏は眼の表面の結膜、角膜に塗布する軟膏製剤です。眼の周りに塗る薬ではありません。
特徴は粘稠製があるため、点眼液にくらべて回数が少なく済む点です。
 眼軟膏製剤は7-10mmを塗布する記載が多くあります。
塗布した眼軟膏はその後結膜嚢に溜まります。そのため結膜嚢の大きさから推定して眼軟膏の量は3-4mmで十分と考えています。そして結膜嚢から吸収して効力を示すように設定されています。
 


あcamera転院症例 眼の周りに眼軟膏の塗布をしてひどくなったケース

  薬剤師に聞いた話ですが、眼軟膏は詳細に使用法を説明してもヒトではご年配の方で間違えて眼の周りに誤って塗布してしまうケースは多いそうです。動物診療ではどうゆう訳がcamera写真のように獣医師の指示で眼の周りに眼軟膏の塗布をしてひどくなるケースやまた皮膚軟膏を眼に塗布するケースにも遭遇したケースもありました。

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■眼軟膏と皮膚軟膏の相違
あcameraリンデロンA軟膏とリンデロンVG軟膏


 眼軟膏も皮膚軟膏もどちらの薬剤も製薬はワセリンがベースです。同じように見える薬剤ですが、この項ではcamera写真のリンデロンA軟膏とリンデロンVG軟膏を例に相違を説明します。

 眼科・耳科用のリンデロンA軟膏はステロイドはベタメタゾンリン酸エステルが主成分でステロイドのランクではDランクと弱い薬剤です。この軟膏は眼の中の角結膜に塗布して粘膜で吸収します。副作用を少なくして、眼の病変には効能があるような薬剤設定になっています。またリンデロンA軟膏は眼科用を含むので無菌製剤が薬事法で必要とされています。そして眼に塗り易いようにノズルが鋭敏になっています。

 リンデロンVG軟膏のステロイドはベタメタゾン吉草酸エステルでステロイドのランクではBランクになりやや強い薬剤です。一般に皮膚のステロイド軟膏は顔・体幹などの皮膚の厚さにより設定が異なり、塗布により吸収されて皮膚病に効能を示す強さの薬剤が含有されています。またリンデロンVG軟膏は皮膚製剤なので滅菌は薬事法で必要ありません。当然眼に対する毒性は不明で、皮膚軟膏を眼に塗布して副作用がでた場合どうするのか。薬剤がないからと言って安易に皮膚軟膏を眼に塗布するとこが禁忌である理由は了解頂けると思います。
   
 これらは共に成分名に「ベタメダゾン」が使用されますが結合する酸でステロイドのランクがかわれります
そのため両者は別ものです。臨床家から見た困った点は、これら薬剤は写真のように名前・形式も似ていて、注意して見ないと製品によっては、眼軟膏と皮膚軟膏の区別はつきにくい点です。製薬会社で名称・包装はわかりやすくできないものかと思います。

 また軟膏製剤は本来毛のないヒト用に出来ています。毛のある動物の皮膚に直接軟膏を使用すると舐めて炎症を起こす場合もあり、行う際には注意が必要です。



点眼薬と防腐剤・保存温度

PF点眼とは

点眼剤と温度

エキゾチックアニマルと点眼


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.05更新

あ


 

あ

■トロピカミド
 トロピカミドはアトロピン代用薬です。作用機序はムスカリンレセプターの遮断で発現時間は犬30分、猫15分で、散瞳持続は犬で12時間です。毛様体筋麻痺は弱く、ヒトではないとされています。散瞳持続が短いので検査使用が殆どです。

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あ■トロピカミドとフェニレフリンの合剤

 トロピカミドはムスカリンレセプターの遮断剤です。
フェニレフリンはアドレナリン作動薬で、猫では散瞳効果はありません。発現時間は10%で2時間です。持続時間は犬で12時間です。
毛様体筋麻痺はありません。

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あ■フェニレフリン
 ネオシネジン(フェニレフリン5%点眼液)はフェニレフリン単味(交感神経薬)なので、ホーナー症候群の診断に使用できます。
 
 交感神経の支配は頭部より一次ニューロンがでて、胸椎T1、胸椎T2、胸椎T3で二次ニューロンになります。そして中耳の手前から三次ニューロンになります。

 ホイネル症候群症状は①宿瞳・②第三眼けんの突出・③眼けん裂の狭小化・④眼球陥没がみられます。
一次ニューロンの損傷部位は頭蓋内・頚椎病変で点眼後45分以上
二次ニューロンの損傷部位は腕神経・頚部は20-45分の間に 
三次ニューロン 損傷部位は中耳病変・眼球異常は20以内に
改善が診られる場合があり、診断の指標になります。  
しかし日本はフェニレフリン5%点眼液しかなく、上記の1.5倍の時間で診ています。


 

 

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【break time】

 
flower2

 

 


投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.05更新

a


正しい点眼法
◆正しい人への点眼薬の使用法は
①「目をパチパチさせない」可能から涙管を抑える。
②「1回に1滴だけ点眼する」
③「複数の目薬をさすときは5分以上の間隔をあける」
④点眼時に眉毛・睫毛に触れない、点眼薬を清潔にあつかう
という4原則守ることが大切です。また点眼後5分間は目を閉じて薬の成分を浸透させます。
 

 しかし調査では適切な点眼を実行している人はわずか5.8%です。

 ①点眼後、目をパチパチさせる方がで多く、目をパチパチさせると「目薬が目全体や患部に行き渡ると思うから」と勘違いしているみたです。
 
 ②眼薬の1滴は眼の中で効果ある適切な量ですが、3人に1人が2滴以上を点眼して過剰点眼でした。
 一部点眼液の説明書に1回1-2滴点眼の記載もありますが、点眼を失敗した場合も考慮して記載されています。 点眼は1滴で十分です。2滴点眼すると、2倍の効果なんて誤ったことは考えないで下さい。

 ③また2種類以上の眼薬を処方された場合、約5分以上の間隔を空けていない人も37.2%いました。

 ①②③の誤った方法で点眼すると、薬が眼から外に流れ出てしま い、十分な効果が得られません。

 ④また点眼メーカーに製品に異物が混入していたとクレームを付けた方もいたそうです。
 点眼液は薬事法で滅菌が義務ずけられており、点眼メーカーの点眼薬に異物は入ることはありません。
 たぶんこの方は眉毛・睫毛に点眼の先をつけてしまって異物が混ざったと推測されます。
 また点眼のキャップは清潔な場所に置くか、自身で持って点眼してください。キャップに付着したばい菌が点眼液に入ります。

 また一般的に点眼液は封を切ったら清潔に保管して1ヶ月以内の使用になります。
(薬剤により保管場所、有効期間は異なります。詳細は処方されたかたにお尋ね下さい。)

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あ

■人の例ですが点眼液以外を点眼したケース
  一番右の青の薬剤はパニマイシンという点眼薬です。
 一番左のラキソベロンは便秘薬で水溶性の経口薬剤です。
入れ物が似ているのでヒトで誤って、この便秘薬を点眼してしまったケースもあるそうです。そのため写真が小さく見にくいですが、ラキソベロンの上に「眼に入れないこと」と記載されています。
 前記のような誤使用例が人ではあるので、ニゾラールローション(写真)(本来は外用の坑真菌剤)は薬剤の出るところをトロッコボール状にして、点眼剤とはまず間違わないような形式をとりました。

■まとめ 
 以上、ヒトが点眼薬を処方される場合も医師、薬剤師から点眼法は指示されますが意外と守られていません。


---------------------------------------------------------------------
あ
■では動物の点眼法は
 オーナーはペットが眼の病気だと眼薬の処方を期待する傾向があります。動物により眼の大きさが異なり、また協力的でない場合もあり人より大変です。しかし協力的でない動物や目が小さい動物は点眼をしない選択も重要です。

◆正しい人への点眼薬の使用法を動物に応用すると、可能な項目と不可能な項目がありますが、点眼をおこなう場合は最大の効果を出す努力は必要です。回数・量・複数点眼のルールがわからず「正しい点眼」ができないで、眼が悪くなっている場合もあります。
 
 まず①の「目をパチパチさせない」、可能から涙管を抑える。これを動物で実施することはむりです。
 
 上記したように、人の点眼液のメーカーの説明書には片目に1回1-2滴との記載が多く書かれていますが、基本的に1回1滴で十分です。 メーカーの説明書には点眼に失敗した場合も想定内に入れて多く書いてあります。ペットのオーナーは早く疾患を治したいと考え動物に1回2-3滴点眼した方も診たこともありますが早く治りません。悪くなる可能性があるのみです。犬・猫・うさぎは人と眼の大きさが変わりませんので、上記のように1滴で十分です。 

 当然ですが点眼液は眼に入って効果を示します。周りの皮膚についても効能は示しません。眼から点眼液が溢れたり、またうまく点眼ができないで周りの皮膚についた場合は動物用のコットン(写真)でふいてください。
 
 ほおっておくと、痒みを誘発して、眼の回りがはげてしまったケースもあります(下記参照)。
 
 動物の性格がきつく、点眼できないときは掛かり付けの獣医師に早く相談してください。
 経口薬への変更などその動物の症状・性格にあったアドバイスをしてくれるとおもいます。


 本院では猫は写真のように動物の後ろに回って上眼瞼に点眼するよう説明させていただています。
 
 (写真の解説)ヒトでは点眼のキャップは点眼に使用しない片手に夾み床に置かないように指導されます。キャップは床に置くとばい菌が内側に付き点眼薬を汚染するためです。
 
 しかし協力的でない動物は写真のようにキャップを片手に夾めまない場合が多いです。そのためキャップはなるべく綺麗な所において下さい。 

 またヒトでは眉毛と点眼開口部位が付かないよう指導をうけます。動物も同様で、眉毛から点眼薬にばい菌は入る可能性があり、注意しておこなって下さい。
 しかし点眼を嫌がる場合もあり、なかなかヒトのようにうまくはいきません。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.04更新

あ■点眼薬の種類(水性、混濁、油性、眼軟膏)と応用使用法を解説します。



 点眼薬は一部溶解性の点眼を除き、封を切ったら1ヶ月以内に使用します。(一部溶解性の点眼は1-2週間以内の使用もあります。)

 点眼薬には常温保存(0-30度)冷所保存(0-15度以内)にわかれます。
 家庭用冷蔵庫は4度ですので、冷蔵庫に保管すればよい訳ですが、常温保存の点眼液を冷蔵庫にいれると、冷たくなり点眼時に動物がいやがることもあります
 冷所保存点眼には(0-7度)が最適な場合もあり、使用する点眼の最適保管を掛かりつけ動物病院によくお尋ね下さい。

 封を切った点眼液を冷蔵庫に1ヶ月以上保管することは絶対にやめてください。
 その理由としては、開封して1カ月で回収した点眼液の29%に主にグラム陰性菌で汚染されているとの報告などによります。
 ばい菌を点眼していると同じです。

■水性点眼
 ふつうの点眼薬です。

■混濁点眼 
 よくかきまぜて使用しないと点眼薬がばらつきます。

■油性の点眼液 
 油性の点眼液はベトベトしますので、とくに点眼時は眼瞼からこぼれないように注意が必要です。

■1回、使い切りタイプの点眼液です。 
 1回、使い切りタイプの点眼液で防腐剤は入っていません。
  
 この点眼は1回、使い切りが理想ですが、治療費がかかるため、本院ではオーナーの理解があれば、封を切って、冷蔵庫保存でその日のうちに使用してもらっています。日をまたいでの使用は禁忌です。

 なお使い切りタイプの点眼液の使用法は様々ありますので、掛かり付けの獣医師にご相談ください。

■点眼薬の入れ物の硬度の違い  
 左が参天製品、右が日東メデックの製品です。

 点眼の入れ物は製薬会社間で堅さは違います。

 参天製薬の入れ物は柔らかくできており、力のある人が点眼すると多くでます。
 日本点眼は硬めの入れ物に入っています。

■PF点眼 
 日本点眼が開発した方法で、PF点眼はPreservative Freeの略で防腐剤が無添加である点が特徴です。
 
 左がPF点眼です。左右とも点眼薬液の分量は同じですが、中に空間がある関係でPF点眼は容器が大きいことが特徴です。 点眼には少し力が必要です。

■製薬会社が異なるのに似た容器 
注意が必要です。

■眼軟膏について  
 眼軟膏は眼の上に塗布する薬剤で、眼の回りに塗布する薬剤ではありません。

 特徴は点眼液に比べて、眼の中で長時間薬理作用を示してくれるので、回数が少なく済みます。

 しつこいようですが注意 眼の周りに塗る薬ではありません。医療でも眼の周りに塗布するよう指示されたケースもあり、残念ながら医療・獣医療関係者でも使用法を誤って説明する方がいます。

■眼軟膏の正しい使用法  
 眼軟膏は眼の中に3-4mm入れると結膜嚢に貯まり効力を示します。一部能書記載の7-10mmは必要ないと考えています。

 この医療行為が、抵抗のあるオーナーには眼軟膏でなく点眼薬を薦めます。

 眼軟膏はベトつくので動物が(特に猫、うさぎ)眼を気にして掻く動作が診られる場合は2回目からは使用しない方が良いと筆者は考えています。

■点眼薬がない場合の治療は
 本院では、点眼薬がない薬剤は、これまで獣医師が多く使用して安全性が高い薬剤や、ヒトの眼科の本に記載ある処方は使用しています。
 (写真は犬のドライアイの処方)




■うさぎのスナッフルなど鼻疾患時の使用方法  
 点眼薬の応用使用(点眼薬の点鼻への応用)  
 
 点眼薬を鼻に入れます。鼻と眼はつながっているので、点眼薬は鼻に使用可能です。
 また人、動物の薬剤は点鼻専門の薬剤は殆どありません。

 うさぎの場合、写真のように仰向けにして行います。嫌がるうさぎもいます、下手な人が行いうさぎが骨折した場合も報告されています。
 この方法をおこなうときはよく掛かり付けの獣医師に相談してからおこなってくだい。

■市販のヒト用点眼剤の動物への使用は 
 薦められません。本院では禁忌と考えています。
 
 診断がなく点眼を使用することはよくありません。
 
 また市販の点眼剤は15ml用が多く、封をきって3ヶ月有効な場合が多いです。(医療用点眼は封をきって1ヶ月内の使用)

その理由は、1日何回、適していない方法で点眼するか、かわらないので、薬剤安定のため、防腐剤が多く入っているからです。
(NHK、テレビシンポジウム、ドライアイより)
 
 防腐剤の過多は眼の副作用の原因になります。
 
まず動物の眼を診てくれる動物病院訪れることが大切です。

(写真のスマイルはヒトでは軽度のドライアイ用です。)

■眼科疾患で点眼できないと
 犬猫ウサギの眼科疾患は点眼できないときは、治療にならないことが多く、早めに掛かり付け獣医師に相談してください。
 
 特に角膜潰瘍・緑内障・角膜穿孔などのときは失眼につながる場合もあります。

 またハムスター・小鳥は眼が小さく点眼はとくに注意が必要です。しない方が良い場合もあります。

 写真は他院で眼の診療を受けて、抗生剤・ヒアレインを処方されました。
 しかし点眼できず、益々わるくなるので、セカンドオピニオンで来院したシーズーです。

 犬の性格がきつく検査が大変で多くはできませんでしたが、潰瘍部位がフルオル検査をしても染まらず、デスメ膜瘤が疑われました。動物の眼科専門病院へ行くことを薦めた症例です。 
 

■デスメ膜瘤・眼の角膜が膜1枚(本来7枚)になり、中の眼房水が出て失眼寸前の状態の状態。

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.03更新

オダガワ

■点眼薬と防腐剤・保存温度


 前回、点眼薬は封をきったら1ヶ月以内に使用するように記載しました。
 また点眼薬は開封後、薬剤安定のため防腐剤が入っている製品が多いです。点眼薬の中にはこの防腐剤がないと製薬できない薬剤もあり、眼科の病気ではさけて通れません。

 防腐剤入りの点眼は、1種類1日3回点眼を想定で作られています。その以上点眼薬・回数を多くすると防腐剤の副作用があらわれる場合があります。長期点眼や点眼薬の数が多いと、角膜に異常を示すことがあり、定期的に眼科の検査が必要です。

 最近は防腐剤フリーの点眼薬も多くなりました。可能ならこちらの製品を使用した場合が良いですが、封を切ってからの使用期間が短い製品もあり注意が必要です。

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■防腐剤入り点眼例  

あ

緑内障に使用されるラタノプラストには、防腐剤として塩化ベンザルコニウム含有されています。最近はジュネリック品で防腐剤フリーの製品もあります。

   あ

 非ステロイド点眼のジクロードには防腐剤としてクロロブタノールが含有されています。クロロブタノールは一般的に高温多湿条件下では、有効成分の分解が進行しやすくなり、塩酸を放出し、刺激性を与えるとされています。可能な限り、冷蔵(10度以下)の保存が必要です。 

 

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■参考資料 点眼剤と温度

日本薬局方(にほんやっきょくほう=医薬品の規格基準書)によれば、

「室温保存」とは1から30℃のことを指します。家庭ではタンスの中などで保存が可能です。家庭用冷蔵庫は推定4℃なので保存は可ですが、点眼剤が冷たくなり、動物が点眼を嫌がる場合があり取り出して数分してからの使用を薦めます。

「常温保存」とは15から25℃のことを指しますが、点眼薬では私の知る範囲で常温指定のものは見あたりません。

「冷所保存」は1から15℃間で保存することを指します。また「冷暗所保存」とは1から15℃間で、かつ光があたらない場所を指します。これらの点眼剤は家庭用冷蔵庫(推定4℃)に入れてることがベストです。この条件に指定されている点眼剤は多くあります。冬場暖房を使用すれば室温は20℃以上になることが多く、保管には注意が必要です。

また点眼剤はいずれも凍結は不可です。凍結すると点眼剤は変質します。

点眼容器は熱に弱い製品が多く、50℃以上に放置すると、膨張または収縮が発生します。直射日光が当たる場所は注意です。夏場、車中に点眼剤を保存していると、条件によりますが50-70℃にもなるそうです。

以上凍結、高温にさらした点眼薬は薬効は疑問な為、新らしい点眼剤に替えての使用を薦めます。


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■防腐剤のはいっていない点眼薬例  

あ

1回使い切りタイプです。

あ

ソフトサイティアは封をあけて7日位です。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.03更新

お

bookPF点眼とは


ぴ
PFは、Preservative Free(防腐剤無添加)の頭文字です。

ぷ

 近年、防腐剤の副作用が注目され、防腐剤による角膜上皮障害、アレルギー等の報告が多数されています。そこで日本点眼が考えた防腐剤フリーの仕組みです。使用した感想は、通常点眼より容器が大きいので、点眼時少々力がいりますが、滴下は慣れれば問題ないとおもいます。

ぴ

 このPF点眼はキャップをとると薬剤の出口がcamera写真のような平面になります。同然ヒトを対称につくられた点眼容器です。本院で動物に使用した経験では、猫のように眼が正面にある動物では比較的楽に点眼できましが、ウサギのように眼が横にある動物ではちょっと大変です。犬は種類によります。シーズーは比較的楽ですが、柴犬は大変でした。またすべての動物の性格により左右されます。

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.03更新

 あ


■点眼剤と温度

 日本薬局方(にほんやっきょくほう=医薬品の規格基準書)によれば、

 「室温保存」とは1から30℃のことを指します。家庭ではタンスの中などで保存が可能です。家庭用冷蔵庫は推定4℃なので保存は可ですが、点眼剤が冷たくなり、動物が点眼を嫌がる場合があり取り出して室温に戻してからの使用を薦めます。

 「常温保存」とは15から25℃のことを指しますが、点眼薬では私の知る範囲で常温指定のものは見あたりません。

 「冷所保存」は1から15℃間で保存することを指します。また「冷暗所保存」とは1から15℃間で、かつ光があたらない場所を指します。これらの点眼剤は家庭用冷蔵庫(推定4℃)に入れてることがベストです。この条件に指定されている点眼剤は多くあります。冬場暖房を使用すれば室温は20℃以上になることが多く、保管には注意が必要です。

 また点眼剤はいずれも凍結は不可です。凍結すると点眼剤は変質します。

 点眼容器は熱に弱い製品が多く、50℃以上に放置すると、膨張または収縮が発生します。直射日光が当たる場所は注意です。夏場、車中に点眼剤を保存していると、条件によりますが50-70℃にもなるそうです。

 以上凍結、高温にさらした点眼薬は薬効は疑問な為、新らしい点眼剤に替えての使用を薦めます。

----------------------------------------------------------------

あ 点眼薬を裏にすると、使用期限、冷所管理が必要なものはその有無が記載されています。わからない場合は掛かり付けの獣医師にお尋ねください。この薬剤は2013年2月が有効期限です。また1-15度に保管することが記されています。 
----------------------------------------------------------------

あ
この点眼液は13年6月が有効期限です。
また温度の記載はないので1-30度の室温保存が必要になります。


あ 点眼液は使用期限であっても、封を切ったら1ヶ月以内の使用しなければなりません。1ヶ月以上封を開けると、バイ菌の混入があり使用できません。冷蔵庫にし まっても1ヶ月以内です。

点眼薬はこのパターンの使用期間が殆どです。
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■使い捨て点眼

あ防腐剤が入っていない使い捨て点眼。1回のみの使用です。

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■防腐剤が入っていない点眼
あ

 ソフトサンティアは防腐剤は無く開封して10日が限界です。

あ

溶解タイプは1週間が限界です。

 点眼薬は冷蔵庫に入れとけば、有効期限までは可能な訳ではありません。
なお使用する点眼薬の使用法は掛かり付けの獣医師に聞いて使用してください。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.01更新

すdogtigermousechick条虫、吸虫駆虫剤 
プラジクアンテル(Praziquantel)とは


■条虫・吸虫の駆虫について
 昔はこれらの条虫・吸虫の駆除剤は投与前後に絶食が必要だったり、また投与後には下剤が必要な薬剤も多くありました。
1985年ごろ犬猫用のプラジクアンテル(Praziquantelが販売されてから副作用は少なく、絶食などに関係なく安心して投与可能になりました。
 
 注意点は条虫、吸虫の種類により、プラジクアンテルの投与量が異なることです。
条虫・吸虫は神経系の発達が悪く、抑制性神経伝達物質(GABA)は存在しないため、イベルメクチン等は効果を示しません。
プラジクアンテルの作用機序は 条虫の外皮を破壊し、そして内容物を体外へ放出し、主に無機イオンの能動的な移動を阻害して効能を示します。
 実際は駆虫剤投与より中間宿主と接触させないことが大切です
■プラジクアンテルが含まれている複合剤として
◇プロファンダー®スポット 猫用 皮膚滴下剤 
◇ドロンタール®プラス錠 犬用 錠剤 
◇ドロンタール錠® 猫用 錠剤
があります。
 これらの薬剤は線虫駆虫薬(right arrowエモデジプト、パモ酸ピランテル、フェンバンテル)との複合剤で良い点もあります。
しかし瓜実条虫の駆虫量でプラジクアンテルが製剤されており、高用量が必要なright arrowマンソン裂頭条虫right arrow壺型吸虫虫には向きません。
 また複数の寄生虫がいる場合はプレパテントピリオド(線虫類の48-56日、瓜実条虫14-21日)が異なり、再投薬時期に悩むこともあります。
 
 ■またプラジクアンテル単独製剤として
◇ドロンシット® 犬猫用 錠剤・注射 
◇ビルトリシド® ヒト用 錠剤
があります。
 


■本院で診られた条虫、吸虫の種類と駆虫薬、用量、使用形態薬剤
right arrowtigerマンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei)、
right arrowtiger壺型吸虫Pharyngostomum cordatum
 マンソン裂頭条虫の駆虫薬には瓜実条虫駆虫量の約6倍量、吸虫類は約5倍量の投与が必要なため、用量が調節しやすい注射剤が最適です。
 注射がむりな場合は、力価の高い経口剤のビルトリシド®の使用も可能です。

 薬剤より重要なことは、この2種類の寄生虫は第二中間宿主(カエル、ヘビなど)との接触を避けることです。マンソン裂頭条虫はヒトでも感染例が希にあります。


right arrowtiger瓜実条虫Dipylidium caninum
 注射・経口薬・皮膚滴下剤どれでも駆虫可能です。薬剤より重要なことは、right arrow中間宿主のノミの駆除が大切です。ヒトでも感染例があります。


right arrowchick文鳥の条虫 
  経口剤が便利です。しかし中間宿主が不明なため、完全駆除には至りません。


right arrowmouse小型条虫
 本院ではハムスターで診られました。経口投与も可能ですが、プロファンダー®スポットの皮膚滴下剤が便利です。ヒトにも希に感染例があります。

 

■薬剤各論
dogtigerプラジクアンテルの注射剤 

◆ 商品名・ドロンシット®注射液 犬猫用

right arrow瓜実条虫、right arrowマンソン裂頭条虫right arrow壺型吸虫の駆除に使用される薬剤です。特にright arrowマンソン裂頭条虫、壺型吸虫の駆虫には高用量が必要なため、注射剤は投与量が調節でき使用しやすいです。
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tigerプラジクアンテル含有の皮膚滴下剤 

◆商品名・プロフェンダー®スポット 猫用

 成分名・線虫駆虫薬エモデプシド21.43mg/ml(1.5-3mg/kg)、条虫駆虫薬プラジクアンテル85.75mg/ml(5.4-9.8mg/kg)が含有され、グリセリン類似物質に溶解している皮膚滴下剤です。right arrow猫回虫、right arrow猫鉤虫、right arrow瓜実条虫、多包条虫をほとんど同時に駆除可能です。
7週齢、500g以上の犬猫から使用可能です。とくに猫は経口投与が大変な場合もあり重宝な薬剤です。

 プロファンダー®スポット 背中にたらすのみです。
猫回虫、猫鉤虫、瓜実受注の駆虫ができます

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dogtigerプラジクアンテル含有の経口剤 

dog商品名 ドロンタール®プラス 犬用
犬用駆虫薬、3種類の合剤で生後2週齢から使用可能です。
1回の投与で線虫類および条虫類を効果的に駆除可能です。
瓜実条虫→プラジクアンテル
right arrow犬回虫、right arrow犬鉤虫→パモ酸ピランテル
right arrow犬鞭虫
→パモ酸ピランテル・フェバンテールの相乗作用
で駆除を行います。

tiger商品名 ドロンタール® 猫用
 猫用で駆虫薬2種類の製品で、4週齢から使用可能です。
right arrow猫回虫、猫鉤虫はパモ酸ピランテル、
right arrow瓜実条虫はプラジクアンテルが駆除します。
パモ酸ピランテルは猫回虫の産卵前の未成熟な寄生虫に対しても高い駆除効果があります。

dogtiger商品名 ドロンシット®犬猫用、 ビルトリシド®ヒト用 
 共にプラジクアンテルの単独経口剤です。
 ドロンシット®は犬猫用で瓜実条虫感染の場合は便利な薬剤ですが、マンソン裂頭条虫、壺型吸虫の駆虫には猫で3錠も飲ます必要があり、利便性の良い薬剤とは言えません。
 ビルトリシド®はヒトで使用されている条虫・吸虫の駆除剤です。動物用より力価が高いことが特徴です。

あしかし猫では錠剤・粉薬は投薬に抵抗して涎をだして、飲ませにくい場合があります。

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あ flower2竜ヶ岳、ダイヤモンド富士(1月)


 

 

投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.01更新

あdogtiger条虫類、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫の
診断と駆虫薬の相違


 条虫類は扁形動物に属し雌雄同体で無体腔動物です。呼吸、循環、骨格、消化管はなく、線虫のような激しい運動性もありません。頭節のみ寄生体へ固着しているため、吸溝、吸盤、嘴、小鉤など吸着器官があり、その後方に片節が未熟、成熟、老熟と滑車のように連なって体表にクチクラはありません。

 条虫が消化管に寄生したときの片節の繊毛は、極端に言えば、腸の繊毛と似たような構造をしています。そして条虫は動物の消化管の『餌』を『少しだけ頂く』ことで栄養を吸収しています。この『少しだけ頂いく』が ポイントで、『多く頂ければ』寄生された動物は下痢・栄養失調などおこし、条虫自身も寄生体を失い一大事です。しかし『少しだけ頂ければ』寄生された動物も生活はでき、条虫にとっても無条件に栄養が採れて好都合です。
 そのため濃厚感染でない限り下痢など臨床症状がない特徴があります。
 
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dire小動物臨床でよく遭遇する条虫類はあcamera写真① 瓜実条虫に代表される円葉条虫類と
 

あcamera写真② マンソン裂頭条虫に代表される擬葉(裂頭)条虫類です。

当院ではいずれの寄生虫も犬猫のみ感染が診られています。
 両者の相違は、診断方法、中間宿主の数、
条虫駆虫剤プラジクアンテルの薬用量
が異なります。
                       --------------------------------------------------------------------

あcamera写真③ (外部・内部寄生虫の駆虫薬 鈴木 透、CAP No294 2013 12より)

 前者right arrow瓜実条虫片節の最も重要な点は体壁に子宮孔(産卵孔)がない為、(写真③片節内の卵嚢内に虫卵が貯まります。そして組織内の代謝活性が低下して、後部の老熟片節が契れて便と共に片節が排泄されます。そのため、診断は視診が主で「米粒のような虫が糞についてきた」という主訴で来院します。
 また写真①のright arrow瓜実条虫right arrow中間宿主はノミで1つです。

       --------------------------------------------------------------------
 あcamera写真④(外部・内部寄生虫の駆虫薬 鈴木 透、CAP No294 2013 12より)

 後者のマンソン裂頭条虫片節は瓜実条虫に比べて横に約1.5倍長くなっています。相違は体壁に子宮孔(産卵孔)があり虫卵が寄生体の腸管内に排泄される点で、写真②のように虫卵で排泄されます。片節の排泄は殆どなく、診断にはまず検便が必要な点です。中間宿主は2つあります。                                  

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 プラジクアンテル製剤 

right arrow駆虫剤プラジクアンテルの薬用量right arrowマンソン裂頭条の駆虫にはright arrow瓜実条虫の約6倍も必要な点も重要です。
 作用機序は条虫の繊毛から侵入して外皮を破壊し、そして内容物を体外へ放出し、主に無機イオンの能動的な移動を阻害して効能を示します。
 なお条虫類は神経系の発達は悪く、抑制性神経伝達物質(GABA)は存在しないため、イベルメクチン類は効果を示しません。 
 
  条虫の生活史には必ず中間宿主が必要です。著者の考えはright arrow瓜実条虫right arrowマンソン裂頭条虫の再寄生の防止のためにはプリパテントピリオドを考慮した再駆虫より、中間宿主と接触させないことが大切です。
 中間宿主はright arrow瓜実条虫right arrowノミに接触後16-21日で、right arrowマンソン裂頭条虫はカエル、ヘビなどに接触後約14日で感染します。          


 

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あstar塔の岳(丹沢山系)からの日の出(1月)
江の島の上空に日が昇ります。


 

投稿者: オダガワ動物病院

2017.11.01更新

あ book線虫類は蠕虫の中で最も発達した線形動物で、雌雄異体の擬体腔動物です。 


■作用部位
 線虫類の体表は細長い円筒形で全身はクチクラに覆われているため、体表から駆虫薬の吸収はできません。そのため駆虫剤の作用点は栄養の摂取・吸収が行われる三放射相称の口、筋肉質の食道、消化管の経路を介して吸収されて、神経節また神経筋接合部に働くと推察されています。

 神経の中枢は脳ではなく、食道を囲む神経環で前方と後方に6本の神経幹が走り、所々に神経節があり、はしご状の神経繊維が全身に分布します。そして背筋、腹筋にまたがる神経繊維を交互に弛緩、収縮させて、腸管の蠕動運動に逆行して寄生生活をしています。

 線虫の駆虫薬は主にこの逆行運動を阻害する目的で、神経節また神経筋接合部のシナプス前部に働くパモ酸ピランテル・エモデジプトなどが使用されています。。

 線虫類は駆虫のためにプリパテントピリオドを考え複数回の投与が必要です。right arrow犬鞭虫は同じ線虫類でもright arrow犬回虫・犬小回虫・犬鉤虫と駆虫薬が多少異なります。

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各論
■商品名 プロフェンダー®スポット 猫用(バイエル薬品、皮膚滴下剤)

あ

あ

 成分名 エモデプシド(Emodepside)・プラジクアンテル(Pragiquantel)の合薬で猫回虫、猫鉤虫、瓜実条虫、猫条虫、多包条虫の内部寄生虫をほとんど同時に駆除が可能です。
 7週齢、500g以上の子猫から投与できます。
猫は経口投与は大変な場合もあるので、重宝な薬剤です。頸背部の被毛を分け、容器の先端を皮膚に付けて滴下する簡便で確実なスポットオン液剤です。

 ■ドロンタール® 猫用(バイエル薬品、錠剤・駆虫可能な寄生虫はプロフェンダースポットと同じ) 
 2種の薬剤が入っている猫用経口剤です。猫は鞭虫の感染がないので犬用と異なり2種類の合剤で、2週齢から使用可能です。
猫回虫、猫鉤虫→パモ酸ピランテル (Pyrantel pamoate)
瓜実条虫→プラジクアンテル(Pragiquantel)の駆除を行います。
パモ酸ピランテルは虫体の神経-筋接合部に作用し痙性の運動神経麻痺を示しコリンエステラーゼ抑制作用を有します。薬剤の腸管からの吸収は殆どありません。1回の投与で線虫類(回虫・鉤虫)の成虫を効果的に駆除できます。虫卵には効果ないため、プレパテント・ピリウドを考慮して、2-4週間あけて最低2回の複数回の投与が必要です。
 プラジクアンテルも含有されているので、ウルザネ条虫も効果的に駆除できます。ウルザネ条虫は再感染防止のため、ノミの駆虫が併用して必要です。
 猫は経口投与が大変な場合もあります。粉にしても効能はありますが、猫が嫌がって涎をだして抵抗される場合があり、筆者の動物病院では駆虫には主にプロフェンダー・スポットを使用しています。

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■プロフェンダー®スポットとドロンタール®錠の駆虫の相違 
 猫の回虫卵は便と共に未分化卵が排泄されます。
①そして10-30時間で幼虫形成卵になる。
②この幼虫形成卵を経口摂取すると、1-3時間でふ化します。
③2日間で肝臓・肺に移行
④6日以後か肺に移行(第3期幼虫)
⑤10-21日で胃・腸に出現(第4期幼虫)
⑥28日で成虫が出現
◇経口剤は主に⑥の猫回虫成虫に効能を示します。
◇皮膚に滴下するプロフェンダー®スポットは④⑤⑥のステージでも約94%の効果を示します。猫回虫成虫のみでなく幼虫移行症にも効能を示すのでこの薬剤がお薦めです。
 ただし希にぶ形剤(グリセリン様物質)にアレルギーを起こして、毛が抜けることも希にあります。
◇しかしどちらの薬剤も猫回虫には2週間あけて、2回の投与は必要です。
◆ノミ・ダニの駆虫剤と併用 ノミ・ダニの駆虫剤と併用する場合はプロフェンダー®スポットを滴下して皮膚が乾いたことを確認した後、離した箇所の皮膚に滴下してください。
 ぶ形剤は薬剤で相性が異なるので、皮膚上でぶ形剤の共有をさけ、薬剤の吸収、分布に影響を与えない為の処置です。

 

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■商品名 ドロンタール®プラス 犬用(バイエル薬品、錠剤)
あ

3種の薬剤が入っている犬用経口駆虫剤剤で、生後2週齢から使用可能です。
right arrow犬回虫、犬鉤虫はパモ酸ピランテル(Pyrantel pamoate)、
right arrow犬鞭虫はパモ酸ピランテル(Pyrantel pamoate)とフェバンテールの相乗作用、
瓜実条虫はプラジクアンテル(Pragiquantel
が駆除を行います。
 

 1回の投与で線虫類(right arrow犬回虫、犬鉤虫、right arrow犬鞭虫)の成虫を効果的に駆除できます。しかし虫卵には効果ないため、寄生虫のプレパテント・ピリウドを考慮して、right arrow犬回虫、犬鉤虫は2-4週間あけて最低2回の投与、right arrow犬鞭虫は2-3ヶ月あけて複数回の投与が必要です。瓜実条虫は再感染防止のためには、中間宿主ノミの駆虫剤の併用必要です。


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■商品名 イベルメック®

あ
■成分名 イベルメクチン(Ivermectin)、パモ酸ピランテル(Pyrantel pamoate)含有
 イベルメクチンは伊豆の川奈の土壌から抽出された成分でフィラリア予防がメインの薬剤です。
 イベルメクチンは単独でも高用量を使用すれば、right arrow犬回虫、犬鈎虫の駆除も同時にできますが、本剤はフィラリア予防がメインのため、コリー犬、オーストラリアンシェパード犬、なMDR1(multidrug resistance protein1)遺伝子の変異犬などイベルメクチン感受性のある犬にもフィラリア予防で使用できるようイベルメクチンを少量にしました。そのためパモ酸ピランテルを含有させて、線虫類の駆除効果も持たしています。
right arrowチュアブルタイプなので嗜好性は良いです。(98%の犬が食べてくれます。)しかし牛肉をベースに製薬ざれているので、それらに食事アレルギーのある犬には薦められません。またフィラリア陽性犬は使用は控えた方がよいです。


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■ミルベマイシン Milbemycin 
 ミルベマイシンは北海道の美瑛の土壌から抽出された成分です。
本来はフィラリア予防ですがフィラリア予防量でright arrow犬回虫、犬鈎虫の駆除にも使用できます。最大の利点はフィラリア予防量の2倍量でright arrow犬鞭虫駆除が可能で、フィラリア予防量と鞭虫駆除量の差が少ない薬剤です。そのため当院では鞭虫卵が庭や散歩コースに多くいるケースにフィラリア予防と兼ねて使用しています。ただしフィラリア陽性犬は投与は禁忌です。
◆備考 鞭虫卵
 鞭虫卵は便と共にでると、地面で1年以上は感染力があります。鞭虫の感染した場合は便は早めにかたづけることを薦めます。また他からの感染疑いの場合は散歩コースの変更を薦めています。


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■商品名 レボリューション®犬猫用 (ファイザー株式会社 皮膚滴下剤)あ
 成分名のセラメクチンは犬猫のフィラリア予防、ノミ予防、耳ダニ駆虫、猫回虫の駆除をおこないます。right arrow犬回虫には効果はありません。 
  6週齢の仔犬、仔猫から投与できます。またコリー犬、オーストラリアンシェパード犬、なMDR1(multidrug resistance protein1)遺伝子の変異犬などイベルメクチン感受性のある犬にも使用可能です。
 イベルメクチンの第三世代とも称されますが、薬剤が不味いため、経口剤としては販売されませんでした。皮膚浸透性の良い性質を利用して、皮膚滴下剤(容器の先端を皮膚に付けて滴下する簡便で確実なスポットオン液剤)のみの販売になりました。

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■商品名 コンバントリン® 
 成分名 パモ酸ピランテル(Pyrantel pamoate) 
 ヒト用のパモ酸ピランテル製剤もあります。動物でも効果はあります。単独製剤である点は症例によっては魅力です。パモ酸ピランテルは消化管から吸収されないので、腸管のみの駆虫になります。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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