アジソン病(副腎皮質機能低下症)川崎市多摩区、オダガワ動物病院
2017.12.17更新
副腎皮質ホルモン(グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド)は生命の維持に必要なホルモンで、健康なイヌでは体の状態に合わせて適切に分泌されています。
副腎皮質ホルモン低下症はイヌではほとんどは原発性で副腎皮質の免疫介在性の障害による副腎萎縮で副腎皮質ホルモンの産生・分泌が低下することによっておきる疾患です。
まれに下垂体からのACTH欠乏による二次性や医原性(投与した薬の影響による)でおきることもあります。
原発性の慢性副腎 不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれています。ヒトではアジソン病は症例が少なく、国の難病指定を受けています。犬での発生率は1/1000匹以下で、著しく高い訳ではありませんが、ヒトに比べると発生率は高いです。
原発性の副腎皮質機能低下症は副腎の球状層、束状層、網状層、どの部位が壊されているかにより不足するホルモンの相違が出ます。
理論的にはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方が不足する場合をアジソン病、グルココルチコイドだけが不足する場合を非定型アジソン病、ミネラルコルチコイドだけが不足する場合を選択的低アルドステロン症との記載もありますが、明確に分けられる訳ではありません。
主な症状としては、食欲の低下や、徐脈、嘔吐、下痢などが多く診られ、なんらかのストレスを受けると発症します。
当院の経験では、川崎の実家に犬を連れてきて発症したケースや、(オーナーは実家に帰省して、くつろげるが、犬ちゅんにとっては他人の家)また隣で工事が始まり発症したケースもありました。診断は上記した症状に加え、血液検査と血液生化学検査で低Na、高K、低グルコースが診られることが多いです。厳密な診断にはACTH負荷試験が必要です。
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今回の症例は雄、7歳のヨーキーです。ここ数日、嘔吐、下痢、元気なく、脱力感や疲労感が生じ、座わる時間が多く来院しました。
最初聴診で不性脈に気づきました。そこで血液検査、生化学検査、心電図検査おこないました。
血液・生化学検査では、低Na、高Kが診られました。
心電図では洞停止が診られました。
以上の見解より、より厳密な診断のため、ACTH負荷試験をおこない判断しました。
この症例はACTH負荷試験は注射後のみ測定でしたが、0.2μg/dl以下でした。
以上の理由でアジソンと診断しました。
治療はフルドロコルチゾンの投与が主になります。またプレドニゾロンの併用も必要です。
アジソン病は、発見が遅くなると危篤状態となりそのまま亡くなってしまうケースもあります。また、一生治療と付き合っていかなくてはならない病気です。
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