小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2015.04.21更新

お
rabbitウサギのミミダニ症
(正式名・ウサギキュウセンヒゼンダニ Psoroptes cuniculi

 新しいウサギを迎えたところ、両方の耳を痒がることで川崎市麻生区から来院した症例です。耳垢が多くあり、綿棒で採取すると耳ダニが発見されました。
 
感染は耳ダニに感染しているウサギとの接触でおきます。そのため購入時または預かってもらった施設が耳ダニに蔓延している不衛生な施設にあった場合におきます。自宅でずっと飼育していて、耳を痒がる場合は他の原因が考えられます。このお宅は同居のウサギがいるので、そちらにも駆虫薬をお願いしました。 

 以前はウサギのミミダニはよく診かけましたが、最近は珍しい疾患になっています。

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右耳 左耳
cameraウサギの耳ダニ、左右耳の所見

 このような痂皮・鱗屑が耳の病変になります。またやたらに耳を痒がります。耳介に後肢で掻いた爪の跡が残る位です。犬猫の耳ダニように耳垢は黒くはなりません。

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ウサギの耳ダニの顕微鏡写真

 耳垢を綿棒で採取して顕微鏡で診ると、耳ダニ(正式名 ウサギキュウセンヒゼンダニPsoroptes cuniculiが発見されました。体長はメス0.37-0.55mm、オス0.4-0.75mmです。運がよければ、拡大ルーペでもみえることも可能です。生活史のすべてを外耳道で過ごし表面の上皮や組織液を食べて生きています。寿命は3週間位です。

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 この症例の治療には写真のレボリューション®(成分名・セラメクチン Selamectinを使用しました。
 この薬剤は背中の皮膚に垂らすのみです。皮膚より吸収して血管に入り、全身に効能を示す薬剤で、当然、耳にも薬剤は分布します。犬猫のミミダニに唯一認可のある薬剤です。

 犬猫用ですがウサギも安全に使用でき、だいたい耳ダニは4-5日でよくなります。耳掃除は必要ないケースが殆どです。
 あれこれ薬剤をほしがるオーナーもいますが、ウサギの耳に二次感染がなければ、他の点耳薬(抗生剤、抗炎症剤)の併用は必要ありません。


 耳ダニの生活史は3週間です卵・幼ダニ・前若ダニ・後若ダニ・成ダニ、5期をすべてを外耳で過ごしますまれに肛門付近や陰部、四肢に寄生したケースもあります。

 レボリューション®を使用する際の注意点として、ミミダニの卵には効能は示しませんので、レボリューション®は1回のみの使用だと再発します。
 本院では、耳ダニの生活史を考慮して、
月1回で3ヶ月間(合計3回)はレボリューションを皮膚にたらしてもらっています。また念のため、ウサギの使用製品の熱湯消毒も併せてお願いしています。

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 ■点耳用のミミダニ駆虫剤
 以前は皮膚の薬剤を希釈して点耳使用してました。セラメクチンの販売で、今は点耳はやる必要はなくなりました。


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 【break time】
あ
flower2ツルニチニチソウ(東京都薬用植物園、7月)

よく園芸店でみるニチニチソウは別属です。
別名、ビンカはツルニチニチソウの学名です。
抗がん剤、ビンクルスチン、ビンブラスチンの原料です。

 
 
 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.21更新

お 
猫の耳ダニ症、セカンドオピニオンのケース

 耳の痒みが止まらないことを主訴に6ヶ月の雄猫(マンチカン)が来院しました。
 前の動物病院で耳ダニと診断されてました。皮膚滴下剤(商品不明)と複合点耳薬・耳掃除消毒液を処方され、耳掃除を毎日指導されたそうです。
 治療費がやたら高額で、耳の痒みが止まらず、意味のないものまで多く購入されたとオーナーが感じ、セカンドオピニオンを求めてきた症例です。

み

み2

 camera初診時の左右耳の様子です。
 犬猫では、耳ダニがいると、黒い耳垢がたくさんでてきて、やたら痒がります。
 診断は耳垢を顕微鏡で診ておこないます。
 
だ camera耳垢を検査したところ写真のような耳ダニ成虫が沢山でてきました。
 
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■耳ダニ治療薬
ふ
cameraレボリューション®
  治療は犬猫の耳ダニに認可のあるレボリューション®を皮膚に滴下しました。皮膚より血中に入り耳ダニは治ります。耳ダニの治療をしていると『点耳薬も処方してもらいたい』とオ-ナーから質問を受けますが、二次感染・炎症がない場合に併用する必要性はありません。この疾患もレボリューション®のみの使用でよくなりました。
 ただしレボリューション®(他剤も同様ですが)は成虫には効果ありますが、卵には効果ないため、月1回で最低2回、本院では念のため1回加えて、合計3回の滴下を薦めています。治療しないで放置すると、内耳まで侵されて平衡感覚の異常などおきます。そこから治療を始めても完治はしません。必ず早期に診断して治療をしてください。 
 また同居の猫にも感染する可能性が高い疾患です。このオーナーが飼育している3匹の猫はすべて耳ダニ陽性で、全部にレボリューション®を滴下してもらいました。ヒトにも感染しますが、ヒトの皮膚などでは増殖できないため、かゆみは重症化はしません。
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■動物耳科における、複合点耳薬・耳掃除消毒液の使用について
ド
camera複合点耳薬
■複合点耳薬 
 動物用複合点耳薬は主に抗菌剤、ステロイド剤、抗真菌剤3種が含まれています。二次感染や炎症が強い場合は併用することもあります。ただし必要がない場合に使用すると、その場は治療したような自己満足は得られますが、抗菌剤の耐性を増したり、耳の環境が悪くなります。そのため使用する場合は診断と期間が大切です。

■耳掃除・消毒液
 耳掃除は耳の汚れがひどい場合は必要です。しかし毎日おこなうことではありません。
 絶対禁忌なことは毎日綿棒で耳掃除をすることです。耳が炎症を起こすのみです。ヒトでも毎日綿棒を耳内に入れる方はいないとおもいます。毎日動物の耳掃除をして自己満足のオーナーをどきどき診ます。


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最終更新:平成27年4月21日(火)1時15分


 

投稿者: オダガワ動物病院