小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.10.05更新

■アミノグリコシド系の抗生物質点眼液です。
 主成分はシベカインで、眼の感染症に使用します。
ヒトは1日4回ですが、動物は2回位が限界です。

■商品名 ゲンタシン点眼 
■成分名 ゲンタマイシン(gentamicin)点眼 
 点眼時に動物(犬・猫・ウサギ)では痛みを感じている獣医師は多く、点眼時犬に噛まれた方も結構います。
 しかしメーカーの学術部の話では点眼時の痛みは人ではないそうです。

 ◆応用的使用 
 ウサギのスナッフル様症状時(鼻水・くしゃみが主症状)に点鼻薬として使用しています。

■商品名 ドブラシン
■成分名 ドブラマイシン(Tobramycin)点眼です。
 
 このドブラマイシン点眼の最大の特長は緑膿菌への効果がゲンタシン点眼の5倍あることです。
 特に犬は角膜潰瘍時に緑膿菌の影響で融解性角膜潰瘍に発達する場合が希にあります。
 簡易検査として角膜潰瘍部位のグラム染色が必要で、グラム陰性桿菌が多く診られた場合は、培養結果を待たず1-2時間に1回、このドブラマイシン点眼が必要です。

■商品名 ベストロン点眼
■成分名 セフメノキシム塩酸塩(cefmenoxime hydrochloride)(CMX)点眼
 
 筆者が知るに唯一のセファ系の点眼剤です。セファ系の薬剤は点眼液に製剤するには大変みたいです。
 セフメノキシム塩酸塩(CMX)は第三世代セファム系抗生物質の眼科用剤で、一瓶にセフメノキシム塩酸塩25㎎(力価)が入っています。

 商品名のベストロンの命名は英語のbest(最適のもの)とstrong(作用が強い)を組み合わせた造語で、グラム陽性・グラム陰性の好気性菌及び嫌気性菌に広範な抗菌力を示し、β-lactamaseに対しても安定性があります。
 筆者はこの薬剤の分子量が529.79でセファ系であることを考え、眼表面の感染症に使用しています。
 また重傷症例では、アミノグリコシド系抗生剤と点眼液を併用する場合もあります。
  
◆薬剤の安定 
 ベストロン溶解液(5ml)に溶かして0.5%で使用します。
 溶解後は4-15度の間に保存し、7日以内に使用します。
メーカーのデーターでは15度7日間保存しで96.3%の薬剤残存はあります。

■テラマイシン眼軟膏
■成分名 オキシテトラサイクリン塩酸塩 (oxytetracycline hydrochloride)
 
 眼軟膏3.5g中オキシテトラサイクリン塩酸塩5mgを含有します。日本にはありません。
 
 猫のクラミジア性角膜炎・猫マイコプラズマ性結膜炎に使用しています。

■商品名 ロメワン
■成分名 ロメロフロキサシン
 
 日本で初めての犬用のニューキノロン系抗菌点眼剤です。
1日2-4回点眼します。防腐材として塩化ベンザリコニウムが使用されています。

 犬の眼科領域感染症治療剤であり、イヌの細菌性結膜炎、角膜炎、眼瞼炎および麦粒腫に効果が認められます。

 副作用・臨床試験において副作用は認められなかったそうですが、 ニューキノロン系抗生物質に過敏な動物は2週間位で角膜浮腫をおこすことが稀にあります。
 また長期点眼時は防腐剤の影響を考えなくてはなりません。

■製品名 マリオット点眼
■成分名 ノルフロキサシン( Norfloxacin)点眼
 
◆ノルフロキサシンとは 
 キノロン系は1960年代にマラリアの治療薬を開発中に偶然誕生しました。

 その後キノロン系薬剤は販売されましたが、抗菌剤として臨床的価値は低い薬剤でした。
 細菌の培地でナルジクス酸がグラム陰性菌を増殖しない目的で使用されている位でした。。
 
 1980年頃フッ素をキノロン剤に付加することで、高い抗菌力の薬剤が作られフッ素の頭文字をとってフルオロキノロン剤と命名されました。(別名・ニューキノロン剤)
 この最初の薬剤がノルフロキサシンです。
 
◆ノルフロキサシン点眼 
 ノルフロキサシン点眼はpH5.6と低い点眼なため犬に点眼を行うと痛みを生じ、噛まれることが多いです。
人でも浸みる目薬と聞きます。
 そのため動物では使用は殆どありません。

◆豆知識 
 正常な涙液のpHは人で約7.4であるが、点眼液は少量しか使用しないので、pHが4.8~8.5の溶液であれば、刺激をほとんど感じないとされています。
 浸みる浸みないは、pHのみではなく薬剤、バッファー、防腐剤などいろんな影響をうけるためと言はれています。
また個人差もあります。

■タリビット点眼液
■成分名 オフロキサシンOfloxacin
 
 ニューキノロン系抗生物質点眼です。1日2-4回点眼します。
重い症例や二次診療に広く使用される点眼液です。
角膜浸透性良く、どきらかというと眼内の疾患向きの薬剤です。

 ニューキノロン系抗生物質注射液の場合は種類により、溶解は酸性か、アルカリ性にかたよる薬剤です。
 しかしタリビット点眼液はpH調節剤により、pH6.0~7.0に調節されています。また防腐剤は入っていません。

 注射液と異なり点眼液はpHが中性に調剤されているので、個人的には点眼時に疼痛はないと感じています。しかし「動物に点眼すると痛みを生じる場合もある」ことを主張する獣医師もいます。

 過敏な動物は2週間位で角膜浮腫をおこすことが稀にあります。特に猫で角膜浮腫は注意が必要です。

◆タリビッドの名前の由来
 タリビッドは、細菌が感染している標的臓器で殺菌作用を示すことから、Target(標的)のTarとvivid(躍動的,きびきびしたの意)のividを組み合わせて、力強く標的臓器に到達するイメージを表現できるよう、タリビッドと命名されたそうです。






作者: オダガワ動物病院