小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.04.15更新

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 rabbit前縦隔に「しこり」のあるうさぎの診療


   雄の3才6ヶ月のうさぎが神奈川県川崎市中原区より来院しました。
 これまでかかっていた動物病院に不満がある訳ではないのですがセカンドオピニオンで本院を訪れました。

 

これまで1年半前と2ヶ月前に他の動物病院で「毛球症」と診断されました。2ヶ月前の「毛球症」のとき、レントゲンで前縦隔に「できもの」があることがわかりました。
 






 



レントゲンでは前縦隔の「できもの」は確認できましたが、本院来院時はうさぎが興奮してうまく撮れませんでした。
このうさぎは前縦隔の「できもの」によく診られる眼の瞬膜の突出はありませんでした。

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 雄の3才6ヶ月のうさぎが神奈川県川崎市中原区より来院しました。
 これまでかかっていた動物病院に不満がある訳ではないのですがセカンドオピニオンで本院を訪れました。

これまで1年半前と2ヶ月前に他の動物病院で「毛球症」と診断されました。2ヶ月前の「毛球症」のとき、レントゲンで前縦隔に「できもの」があることがわかりました。
 前縦隔の「できもの」にはリンパ腫・胸腺腫・膿瘍などがあり、それらを診断するためには可能ならエコーのガイド下で細胞診をして確定診断をすることが良いとされています。しかしうさぎは生物学的に弱い動物なので、胸腔に針を刺したのみでショックを受けて死亡するケースもあります。
 そこで前の動物病院では前縦隔の「できもの」の治療でステロイドを2ヶ月間減量しながら飲ませていました。
 そこで「ステロイドをこのままいつまで服用しなければならないのか、また投与の良い点・悪い点を」訪ねたく本院を受診しました。
 このオーナーさんは胸腔穿刺は希望されていませんので、前の動物病院でも同様の説明はあったこととおもいますが、胸腔穿刺で細胞診を行わないと、ステロイドの投与は正式に見えてこない点をつたえました。なぜ獣医師が胸腔穿刺にこだわるのかと言えば、リンパ腫と確定診断がでれば、抗ガン療法で、無処置よりも長く生存できるとこが期待できるかもしれないからです。しかし胸腺腫・膿瘍ではうさぎには良い治療がないのが現状です。
 以上より、本院の方針は1回薬剤をやめて様子を診ることをお勧めしました。その理由として「毛球症」は必ずしも前縦隔に「できもの」が原因でおきたかどうかは不明な点、またうさぎはステロイドの代謝が悪く長期は特に副作用をおこしやすい動物であることによります。薬剤をやめて「毛玉症」や「呼吸困難」になるようでしたら早急に来院することを伝えました。

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●参考資料 うさぎへのステロイド剤の使用 
 ステロイドは使用法の難しい薬剤です。長期投与すれば副作用はでます。しかしステロイドを投与しなければ生きてゆけない病気もあります。
 本院では必要な場合のみうさぎに使用しています。また長期投与には注意しています。
うさぎはストレスに弱いので、ステロイド投与によりストレス状態にすることは良いことではありません。
 好中球を融解させる報告もあります。臨床獣医師の見解としてステロイドへの抵抗性を猫>犬>牛>豚・人・馬>うさぎ・マウス・ラット・ハムスターと定義ている場合が多く、使用は極力控えたほうがよいです。
 その理由としてステロイド母核をもつ葉(ジギタリス葉・ユリ・自然薯など)は草食獣に食べられないように苦味を発して、草食獣の食から逃れ種の維持を計っています。そのため草食獣はステロイドの代謝が不得手な動物です。私達がステロイドを飲むとき苦みが生じるのはこのためです。しかし雑食性動物は進化の過程でステロイドを代謝する酵素を獲得したのでうさぎに比べて適応力があります。ステロイドの草食獣への長期投与で血液検査は変化ないとされていますが様々な意見があります。

 

投稿者: オダガワ動物病院

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