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鳥のオウム病

オウム病(Avian Chlamydiosis)とは

オウム病は人畜共通の病気です。鳥を飼ったら検査は必ず受けましょう。オウム病は多くの鳥類に感染する伝染病で、人にも伝染することはよく知られています。人は肺炎、気管支炎、中外耳炎などの呼吸器症状を示し、時に死に至ることもあります。病原体Chlamydophila psittaciまたChlamydophila abortusの感染によりおこります。ギリシア語で、オウム(parrot)のことをpsittakosといいます。英語での病名のPsittacosisも、病原体の名前のChlamydia psittaciもこのpsittakosに由来します。

クラミジアの分類

オウム病

03年より図のようにクラミジア科は分類が変わりました。

クラミジアとは 菌学

オウム病

クラミジア( Chlamydia)はDNAとRNAを含有し、ウイルスでなく細菌に属するが、一般細菌と異なり無細胞培地では増殖せず、動物細胞内に侵入して初めて増殖できる偏性細胞寄生性小球菌であります。特異な増殖環を有しており、感染性のある基本小体(直径0.3μm)が細胞内に貪食されると、増殖能を有する網様体(直径0.5〜2μm)に変換して2分裂を繰り返し(この時期のみ抗生物質が効果あり)、再び基本小体に成熟変換し、宿主細胞の崩壊により放出される。
(IGWRホームページより引用)

日本におけるオウム病の発生(人)

人の場合、1999年以後全数届での第4種疾患とされています。
月別では5月が多い。

1999年(4-12月) 24件
2000年 19件
2001年 30件
2002年 55件
2003年(1-9月) 35件

鳥類の保有状況

岐阜大学の調査では送られて来る検体の職種別では、ペットショップ22%と一番高く・動物病院5%・動物展示所3%で陽性を示しています。また動物病院から送られて来る検体で、何かしらの症状ある場合は7.5%の陽性を示し、症状ない固体は2.5%の陽性を示します。多い鳥類はオカメインコ14%、セキセイインコ12%でインコ類が日本では高い陽性率を示します。文鳥は陽性率が低いです。人にオウム病をうつした鳥類としてオウム・インコ56%、ハト7%、ヘラジカ3%(川崎の集団感染)となっています。多い季節として1月から7月です。雛の孵る時期と一致しているのではと推察されます。8月から12月は少なく。6月が最も多く発生します。

鳥類オウム病の検査

検体 鳥の糞または総排泄腔のスワブ

鳥の糞が少々あれば、検査可能です。Chlamydophila psittaciまたChlamydophila abortusのPCR法で抗原検出で行っています。本院では専門の検査所に依頼しますので、結果は2週間程時間がかかります。

最重要
検査は1回すればすべて診断のつくものではありません。PCR法は感度も高く信頼性の高い検査であるが、気をつけてもらいたいことは病原体(抗原)を検出をする検査です。オウム病は感染している鳥でも、いつも病原体を排泄しているわけではなく、断続的に排泄されます。もし排菌されていないときに検査すれば陰性である。よって複数回必要になります。本院では症状とあわせて下記のような検査計画を薦めています。これが今現在、最新の検査です。何回検査をしても100%わかる訳ではありません。飼い鳥の症状とあわせて診ていくことが大切です。オウム病は人畜共通の病気です。鳥を飼ったら検査は必ず受けましょう。

まとめ
Chlamydophila PCR法で抗原検出検査
陽性の場合、オウム病確定
オウム病であるが、排菌されていないときに検査したため陰性になった。今後の症状に注意してください。
陰性の場合、オウム病では無い。
注意・陰性の場合2つの解釈があります。

鳥類の検査計画

無症状の鳥
陽性率2.5%、3ヶ月おきに3回行う。その後は年に1回行うことが望ましい。
疑われる症状のある鳥
陽性率7.5%、初回陰性であっても疑われる症状のある鳥には薬をあげ続ける。投薬中は排菌がおさえられるので、症状が抄出してから検査する。以後3ヶ月おきに3回行う。その後は半年に1回行うことが望ましい。

鳥類のオウム病の解釈

幼鳥の場合
・Chlamydophila. psittaciまたChlamydophila abortus に感染すると死亡する個体もある。
・一部、回復した鳥は不顕性感染して一生Chlamydophila. psittaciまたChlamydophila abortusを排泄し持続感染となります。持続感染している鳥は、殆ど無症状です。ストレスなどかかると間欠的にChlamydia psittaciまたChlamydophila abortus を排出します。間欠的なChlamydia psittaciまたChlamydophila abortus の排出が人への感染の原因になります。

青年鳥の場合
・C. psittaciに感染するとテトラサイクリンの投与で回復し、持続感染にはならないと推察されています。

鳥のオウム病の治療

テトラサイクリン・ドキシサイクリンが有効である。・肝臓の悪くテリラサイクリンを使用しにくい鳥類にはクラリスロマイシン・エンロフロキサシンを3週間投与する。またカンジダの発生には注意が必要である。予防法としてアムホテリシシンBを事前に投与する方法もある。対照治療も重要である。

オウム病の証明されている鳥類

オウム、セキセイインコ、オカメインコ・ボタンインコ、カナリア、フインチ、九官鳥、カモメ、アヒル、ガチョウ、白鳥、コウノトリ、フラミンゴ、鷹、鷲、鳩、ニワトリ、ウミツバメ、ウズラ、雉、アホウドリ、ツル、ペリカン、フクロウ、ペンギン、オオハシ、カッコウ、など15目、140種で証明されている。
日本の検査所で多い鳥類はオカメインコ14%、セキセイインコ12%でインコ類が高い陽性率を示します。文鳥は陽性率が低いです。

鳥類のオウム病の症状

一般の見解
1.さえずり、おしゃべり、水浴びなどの行動が少なくなる。
2.食物と水の摂取量が減少し、痩せます。
3.活動性が悪くなる。
4.羽毛を立て、肛門部、口、眼孔の周囲が粘着性の滲出物で汚れる。
5.糞便の性状が軟便、白色水様便、緑白色便、血便になる。
6.まれに足と翼の振るえと麻痺がある。
7.衰弱し脱水で死亡する。

獣医師の見解
くしゃみ・鼻汁・結膜発赤・脾腫・肝肥大。とくに脾臓の腫大には注意。獣医師がうつされることもある。オウム病ならではの特異的な症状はなく、症状からは他の病気との鑑別は不可能です。Chlamydophila PCR法で抗原検出検査や、薬に対する反応で診ていきます。

人のオウム病

疫学状況
世界中で飼育鳥からの感染が散発している。ときに野生鳥からの感染もみられる。欧米では食用鳥肉業者の集団発生も報告されている。市中肺炎の2%程度と推測されている。


病原体・毒素
オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaciまたChlamydophila abortus)


感染経路
鳥(セキセイインコ、オウム、ハトなど)の排泄物に含まれる菌体を吸入することによるが、口移しの給餌での感染もある。飛沫感染。ヒトからヒトへの感染はまれだが、肺炎未治療例の咳、喀痰などは要注意。


どんな病気?
病原体のChlamydophila psittaciまたChlamydophila abortusという細菌に感染している鳥の乾燥した分泌物・排泄物などを吸いこむことにより、人が感染することがあります。口などの粘膜を介しての、感染している鳥との直接の接触により、人が感染する可能性があります。また、感染している鳥に噛まれて人が感染する可能性もあります。潜伏期間は、5〜19日です。初発症状としての熱は、ほぼ必発で38℃以上の高熱であることが特徴である。突然の高熱、悪寒、頭痛、全身倦怠感などのインフルエンザ様の症状で発症します。また、咳も必発で、当初は乾性でやがて痰を伴うという経過をとる。しばしば、胸部X線撮影で肺炎(非定型肺炎)が明らかになります。心内膜炎、心筋炎、関節炎、角結膜炎、肝炎や無気力・食欲不振・脳炎などの神経の異常などが合併することがあります。呼吸困難、重症の肺炎となり、集中的な治療が必要となる場合もあります。老人・妊婦などで死亡例もあります。抗菌剤がない時代には、患者の致死率は15〜20%ありましたが、現在においては、適切な治療がなされれば、患者の致死率は1%未満であると考えられています。また最近になって従来の典型的な呼吸器の病型以外に頸部リンパ節炎の病型があることが報告されている。


注意点
Chlamydophila psittaciまたChlamydophila abortusに似た病気としてChlamydia pneumoniaeがあります。Chlamydia pneumoniaeはヒトを自然宿主として、ヒト−ヒト伝播により、上気道炎、気管支炎、肺炎などを惹起する疾患です。オウム病と症状は似てますが、このChlamydia pneumoniaeによる肺炎は人のみの病気であり、鳥は関係ありません。オウム病による肺炎は上記で説明したようにChlamydophila psittaciが原因菌です。この2種類は症状からではわかりませんので、人の病院で抗体検査をしてもらって下さい。安易な知識で鳥の原因にしないようお願いします。


妊婦への注意
妊婦がChlamydia psittaciまたChlamydophila abortusに感染して、妊婦オウム病(gestational psittacosis)となることがあります。非定形肺炎、肝炎、敗血症、胎盤不全を起こし、早産・流産・胎児死等を起こすことがあります。この妊婦オウム病には、鳥から感染した例があります。また、イギリスなどでは、感染したヒツジやヤギなどの家畜の哺乳動物の出産時の羊水や胎盤により感染した例があります。このような哺乳動物では、Chlamydia psittaciという細菌は生殖器官に生息していて、性行為や病原体に汚染されたものを食べることによって感染し、流産・早産の原因となります。病原体のChlamydia psittaciという細菌に感染している動物や鳥との親密な接触は、妊婦は避けるべきです。妊娠するとオウム病の検査を行うのはそのためです。


オウム病は人と鳥のみの疾患ですか
家畜や愛玩・野生動物に各種のクラミジア感染症があり、これら動物から人の感染例や疫学的調査成績が報告され、オウム病は鳥類の他に愛玩・野生動物をも加えた人畜共通伝染病の1つとして認識されようとしています。羊はオウム病にかかりやすいという報告もあります。


オウム病の人の治療
中等症、重症例ではテトラサイクリン系薬(ミノサイクリン)の点滴静注100mg1日2回。軽症ではテトラサイクリン系薬、マクロライド系薬、ニューキノロン系薬の内服。妊婦、小児ではマクロライド系薬。
投与期間は少なくとも10〜14日必要。
経過・予後・治療効果判定・早期治療をすれば良好であるが、まれに治療の遅れで死亡例あり。合併症・続発症とその対応・重症肺炎にはステロイドや呼吸管理、髄膜炎や多臓器不全、DICには全身管理。2次感染予防・感染の管理 感染鳥の処分、あるいはテトラサイクリン系薬での治療。肺炎未治療例の咳、喀痰などは要注意。


参考文献
1・飼鳥の臨床 エキゾチックペット研究会・大阪セミナー抄録04 海老沢 和荘
2・オウム病の現状とその対策 福士 秀人04 年次大会 横浜

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